Factor.1

  日本と世界を襲った三つの大きな波の最初の一波は、西暦二〇一〇年七月に訪れた。
  南海、東南海、東海、そして関東と、僅か二ヶ月の間に連続して発生した大規模広域地震は、日本列島を、そして日本国を、何より日本人の生活を破壊した。

  日本政府は、経済的植民地化の危機下にありながら、破綻した複数の県の財政再建にまで、無為無策のまま外国資本の参入を許してしまう。

  さらに追い討ちをかけるようにして、危機に乗じて乗り込んできた外国資本によって、徹底的に日本の全てを買い叩たかれた事が決定打となった。

  さらに世界では何時の間にか冬でも大発生するようになった蚊を媒介して、人から人への感染力を爆発的に高めた鳥インフルエンザ――既に人インフルエンザ化しており、別の呼称もあったが、日本政府は断固“鳥”の文字を削らなかった――が猛威を振るい百万単位の罹患者をだし、急加速する温暖化と環境難民の激増、世界規模での大幅な食料生産力の低下や水不足に伴い、政治的、経済的な対立が尖鋭化した。

  結果として震災から僅か数年で世界は変わってしまった。

  歴史の闇から帝国主義とブロック経済の悪夢を呼び覚まし、大きく四つの経済ブロックに分裂する事になってしまったのである。

  中国、ロシアを中心に、アセアン諸国の一部、アフリカ諸国のほぼ三割と、中央アジアの大半を取り込み、最大の人口を誇るユーラシア連合。

  中米・ブラジルを除いた南北アメリカの大半、そして崩壊しつつあるアセアン諸国に旧英連邦諸国をその影響下におき、統合された日米、英米の両同盟を中心とした日英米枢軸。



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