DEFCON 1
「あ、いや、なんかさ、もしかして戦争でも始まってるんじゃないか?」
正樹は自分の台詞に思わず不安になりながらも、集結と展開を行っているらしい、滑走路上のコロンビア国軍の兵士達を眺める。
明らかな戦闘部隊であり、難民の保護やら空港警備ごときで、簡単に動かせる兵力規模ではない。
「戦争ならもう始まってるじゃない?」
全然わかっていないらしい久美に「それもそうか」と脱力しながら、再び隣に座り込んで説明を始める正樹。
この地域は、南米も中米も親枢軸と親連合の差はあっても、基本的に中立の立場をとっていた。
しかし、それはあくまで枢軸と連合の間にたった場合の事だ。コロンビアを含めこの地域の国々が安定している訳ではないのである。実際にはかなり不安定な状態にあるのは間違いがない。
特に南米では、ブラジル単独での経済力及び軍事力の伸張に、目覚ましいものがあった。
高性能ではあっても高価な枢軸諸国の製品群より、安価なブラジルの製品群は、イスラム勢力との関係からブロック化に取り残されたアフリカの国々で大量に必要とされ、結果としてブラジルの経済力は一気に底上げされていたのである。
さらに世界情勢が本格的に悪化を始めて以来、枢軸も連合も、自国の兵器体系を凄まじい勢いで刷新していったが、余剰兵器の処分先はアフリカであり東南アジアであり、そしてここ、中米や南米諸国であった。
この地域には、大量の中古・新古兵器が溢れていたのだ。