DEFCON 1


  一九世紀からの悲願である中米連合や中米連邦、中米合衆国などといった、中米統一の夢も未だ各国中枢でくすぶり続けていたし、国境地帯に根を張る国際的な麻薬カルテルの勢力は、既に国家規模にまで膨れ上がっていた。

  ブラジルに比べて経済的な行き詰まりを見せていた中米諸国では、何時何処でどんな形で戦の炎が上がってもおかしくなかったのである。

  まして多くの民衆が貧困に喘いでいる中米諸国を、辛うじて、実際ギリギリで庇護していた形の米国及び枢軸諸国が、連合諸国との全面戦争に入ってしまったのである。

  後は何処で戦火が上がるか時間の問題であり、そうなれば中米の市場を虎視眈々と狙っていたブラジルが指をくわえて見ているはずがないのだ――。

「南米でも戦争が起こるって事?」

「枢軸と連合の戦争がどうなるかにもよるけどね?」

  と、突然口を挟んで来たのは篠原だった。

「だから見たら――ってわからないか、コロンビアの国軍兵士達の装備は、ほとんど全部二〇年前の米軍装備なんだよ」

  そうなのだ、正樹は自分の感じた不安の一端がなんだったのか、自分でもうまく説明出来ないでいたのだが……。

「意味がわからないわ?」

  だからなんなのか、と、全身で訴える久美。



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