Minus 426
予約のレストランは車で十分ほどの距離にあったが、リムジンはゆっくり大きく旧市街を周り、二倍以上の時間をかけて到着した。
連絡があったのか、道路まで迎えが来て案内されたのは、テラスの一番景色の良い席。
普段はテーブルが他に十以上は並んでいるはずの場所だったが、全て二人のために片付けられている。
無数のキャンドルホルダーが並び、暖かい灯りと潮の香りに包まれた場所。
人間の給仕に椅子を引かれて二人が席に着いた時、水平線には赤い夕陽が沈みかけていた。
即座に食前酒の、真央の知らない甘く爽やかなリキュールが出される。
二人のテーブルにはベテランらしい専属の給仕が付き、料理も予約でしか食べられない豪華なものだった。
前菜は海老、貝、冷製の肉、そしてキャビア。
もちろんそれぞれに工夫を凝らした逸品であったが、今では同じ重さの黄金よりも貴重で高価なキャビアを口にした時、真央は思わずため息をもらしていた。
「私、本物のキャビアなんて初めてだわ……」
※ サンディエゴの緯度だと、この時間で大体夕日になります