Minus 426

  隣りに立ったジョンにもたれ、軍港を見つめたまま続ける。

「私は貴方が好き。どうしようもないわ。……それに、貴方が何者かなんて、考えてみたら私以上に知ってる人がいるとは思えないもの」

「どういうこと?」

「貴方は私の愛する人よ」

  真っ直ぐにジョンを見据えて答え、再び港に目を移す。

  亀の様な印象を与える、妙に広く低く平な双胴の軍艦が出航してゆく。

「出会ってまだ2ヶ月なんて信じられないわ……」

「僕もだ、もっと昔から知ってた様に思うよ」

  午前0時。
  マリーナの明りが消えた。

  同時に鳴らされる軍艦の汽笛。対岸の何隻かがそれに答える。
  航海の無事を祈る長い汽笛の音――。

  二人の恋の無事を祈る真央の心。

  十数年前も、真央はこの音と共に父の乗った船を見送ったのだ。

  後ろから抱きしめられキスを交す。
  背中に感じる温もりと、耳や首にかかる吐息と唇の感覚に身を任せ、両手を上げて男の頭を自分の肩越しに抱える様にして、幽かなため息をもらす真央。

  戻ってきた静かな波の音に、閉じていた瞳を夜空に向ける。


  ……サンディエゴの天の川は、ぼんやりとして南に傾き、見上げて首が痛くなる事はなさそうだった。






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