Minus 426
帰りは遠く大回りをしてもらい、北の宙港近くで、轟音と共に軌道往還機が宇宙に向けて飛びたって行く姿に二人で歓声を上げ、美しいニューサンディエゴの夜景を眺めながら、レストランで詰めてもらったシュリンプカクテルとシャンパンを楽しんだ。
最後はマリーナまで送ってもらい、潮風に吹かれながら二人で桟橋を歩く。
「――ねぇジョン?」
「なんだい?」
「貴方は他にも何か隠しているの?」
「それは僕の欲望の事? 確かにパンツの中に一つ隠してあるけど……痛!」
脛を押さえて座り込んだジョンを後目に、マリーナの対岸に見える軍港の偉容を見つめる。
自分が生まれた佐世保、それからハワイの記憶が甦る。
基地での生活は、いつも楽しくて仕方なかったように思う。もちろん本当は楽しいだけではなかったのだろうが、こうして思い出に浸っていると、嫌なことなどなにひとつ思い出せないのだから不思議であった。
対岸に見える軍港で、真央は笑顔で敬礼し、大きく手を振る父を見たのだ。
父の記憶はそこで終わっている。
「……もういいわ」
「もういいって何が?」