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『正樹』

  勝手に入り込んだ長い通路の先に現れたのは、ちょっとしたバッティングセンターかゴルフの練習場はある、広い貨物の集積場である。
  作業中だったのだろう。そこは混沌としていて、縦横に走るベルトコンベアーが、その乱雑さに更なる拍車をかけている。

  見たところ二〇人程の人々が数人づつの小さなグループに別れ、座ったり話しあったりしているが、互いにかなりの距離をおき、なにやら牽制しあっている様子だった。

「ここなら多少はマシかな?」

  恐らく至近距離で多少の爆発が発生しても、爆風で飛び散ったガラス片に曝される脅威は無いだろう。崩れた荷物が怖いと言えば怖いが、伏せてしまえば、滅多な事では怪我はしないだろう。
  もちろん直撃されたら同じ事ではあるが……。

  通路から一番近い駐機場に続くシャッターはその3分の1ほどが開けられ、外からは戦闘車両やヘリの巻き起こす、禍々しく凶悪な騒音が響いていて、何やら叫ぶ声も聞こえてくる。

「大丈夫かな?」

  不安げな久美の声に、改めて周囲を見渡す正樹。
  久美は兵器や兵士の存在感が、ロビーより逆に、戦いの場に近づいてしまったように感じられて怖いのだろう。

「ロビーにいるよりは、多分?」

  ロビーいるのは反対だったが、それ以外は自信があってしている訳ではない正樹の答えは、どうしても歯切れの悪いものになってしまう。



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