BVR


「それよりこの荷物って、もしかして、飛行機から勝手に降ろした物だったりしないかな?」

  田舎の小空港にしては、貨物より如何にも旅行者の物である、スーツケースやら旅行鞄やらが多いのである。
  しかも多くが航空貨物用のバレットやらコンテナから出されている。

「本当だ……なんでだ?」

  もちろんおぼろげながら予想は出来る。

もしかしたら、コロンビア国軍は難民の荷物を強奪するつもりだったのではないか?

  そう言うことである。
  もしもそうなら、枢軸や連合の支配力が大幅に減ったものと考えざるを得ない。両陣営のどちらか一方の勢力であっても、ある程度の影響力が残っているなら、こんな真似をしてただで済むわけがないのだ。
  もしも、や、まさか、といった、不快な予想ばかりが脳裏を過ぎる。

「私達の荷物も有るかな?」 

  多分ある。

「……探してみよう」

と、二人が手近な荷物から手当たり次第にひっくり返していると、後ろからスペイン語や英語の会話に混じり、日本語の会話までもが聞こえて来た。

「あれ? 伊丹さん達も来たみたいだね?」

  うれしそうに笑う久美を見て、思わず正樹の頬も緩んでしまう。しかし、どうやらこの場所も、相当混み合う事になりそうだった。



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