BVR
地表の堆積物を巻き上げながら地上数十センチから数百センチという超低空を突進してゆく装甲歩兵。
「ラケシス、判明している高脅威目標をマーキング、簡易表示。アクティブレーダーは一〇±五秒でランダム発信。後は戦術記録を参照」
“ラケシス了解、ピケットのバグが一〇時二〇分。距離三〇〇〇〇に高速移動目標を確認しました。NOE中と思われる攻撃ヘリが二機。火力陣地の制圧が目標と思われます”
戦域情報の表示を確認して口を歪めるディナ。
火力陣地の防御は、たった二機の戦闘ヘリでどうこうできる程度ではないのだが、戦果によって得られるボーナスを考えると見逃す手はない。
「ヘリをマーキング。最優先。距離が五〇〇〇を切ったら射撃を開始する。射撃終了と同時に戦闘準備」
“ラケシス了解”
ヘリとの相対速度は時速三〇〇キロ近いだろう。カウンターの目盛りが意味を成さない程の勢いで変化してゆく。
「……いくわよ――飛べっ!」
ディナの指示を受け、一瞬沈み込み、大地を蹴った瞬間に合わせて、アフターバーナーに点火すると一気に上昇を始めるラケシス。
耐Gスーツが膨らみ、下半身を中心にギリギリと締め付けられながら、ブラックアウト寸前の頭で必死にターゲットを見据えるディナ。