BVR
機体は樹高三〇メートルを超える密林の樹冠を一瞬で突き破り、雲一つない蒼穹へと飛び出す。
その瞬間、一発五〇ドル以上はするはずの装弾筒付有翼徹甲弾が、一瞬で各ターゲットの未来位置(殆ど修正は要らないが)に向け合計四〇発近くもばら撒かれ、裸眼では芥子粒以下のヘリに向かって飛翔してゆく。
そして、再び樹冠を抜けて緑の海に沈みゆく直前、初めて敵の存在が、ディナの肉眼と同じ倍率に設定された全周モニタに確認できた。
片方は炎を吹き上げ急下降、いや墜落しつつあり、もう片方は黒煙を靡かせながら退避行動中。
攻撃ヘリ二機を撃破。
一機は撃墜確実。
副コンピューターを呼び出し、主計プログラムがはじき出した数値を見てディナの口元が再び歪む。
戦闘開始後僅か数分で約四万ドルの売り上げ。退避したヘリが戻って来なければ、更に二万ドルにはなる。撃墜の確認が出来れば合計八万ドルだ。
たった一撃で部隊内の“本日の売り上げ”ランキングのトップに躍り出るディナ。
とは言え、装弾筒付有翼徹甲弾は高価(今の一連射で二〇〇〇ドル以上)だし、戦闘後にはそろそろ銃身の交換(一本三万ドルを超える)も必要である。
機体の維持費やローンにメンテナンス等の費用は契約に含まれているが、通常の武器弾薬(12.7_MPもしくはAP弾及び、装甲歩兵用アサルトライフル)以外の使用は自腹だし、カスタマイズした分の消耗品や交換部品等の費用を考えればまだまだ全然足りない。