DEFCON 1


  お互いポルトガル語とスペイン語が少し話せる(枢軸諸国の出身者には、英語は当たり前のスキルである)のも会話を弾ませる結果となって、ブラジルで流行の音楽から時事の話題、日本の大学やサークル、趣味や共通して時々出かけている事がわかった、上野の美術館や博物館。秋葉原の店の事等々、二人の話題は多岐に渡っていた。配給の食事――薄いコーンスープが付いていた――を一時間近くも並んで待っていたはずなのに、全く気にならなかった。

  しかし、昨夜と変わっていたのはそれだけではなかった。

  それまで到着した飛行機毎に別々にされていた人々が、全て同じ場所で食事を受け取る事になったのである。
  かなりの混乱だったが、軍人達は一切気にする様子がない。

  完全に対応が変わったのだ。

  何より昨日の夜まで数えきれないほどいた、装甲の無い医療現場等でも良く見かけるタイプの、開放型外骨格式増力装置を装着した兵士――間違いなく支援兵科の兵員――がかなり減っている上、空港の外にはプロテクターを身に付けた完全武装の兵士達が何十人といる。

  もっとも枢軸国の軍隊とは違い、増力機構付の動甲冑は数えるほどしかない。

「本当に嫌な感じだ……」

  なんともきな臭い雰囲気で、まるで乗客達達が、暴動なりテロなりを起こすのを待ち構えているかの様だった。

「――君たち?」

  日本語だった。



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