DEFCON 1
自己紹介と、伊丹の仕入れて来たちょっとした噂話しが終わった途端に、この矢沢氏の発言である。
我も我もと伊丹に声をかける男達だが、そんな事は無理に決まっているのだ。
おそらく通信網は地上も海中もズタズタにされているだろうし、通信衛星だって何割生き残っているのかわかったものではない。
開戦劈頭、大半が攻撃を受け失われてしまっているはずで、生き残っていても、全て軍事用に転用されて、とてもではないが、民間の通信をまかなえるほどの力はないはずであった。
現に正樹たちの飛行機が着陸する頃には、機体の現在位置表示がズレまくっていたのである。
結局は無駄話しにしかならないはずの、伊丹達の会話には到底加わる気にもなれず、正樹がなんともなしに久美の隣に座っていると、雑多な、疲れ切った人々の群れに不意に小さなざわめきが走る。
もちろん正樹もすぐに気付いた。
完全武装の兵士達と様々な戦闘車両――全て米国製の旧式で主に海兵隊等で使われていたもの――が空港周辺に展開をはじめ、戦闘用のヘリが舞い、爆装した航空機までが、編隊を組んで東の方角へ向けて飛び去っていったのである。
正樹達のいる搭乗口側のロビーの外も、今は開け放たれている簡単なゲートを挟んだ、出入り口側のロビーの外も。気が付いてみたら大量のトラックや兵員輸送車でいっぱいになっていたのだ。
どこから湧いたのか、というくらい突然の事であった。