DEFCON 1


「つまり、コロンビアの国軍は昔の米国と同じ様な運用をされている。そしてあそこに見えている様な装備は緊急展開用の兵器なんだ。つまりいざ有事の際に、いち早く戦場の最前線に展開し、後方から主力が到着するまでそこを維持する――」

  流石にわかったらしい。
  少し顔色を変えている久美。

「――それ、戦場って!」

「うん、多分ここで戦闘になるって判断してるんじゃないかなって――どう思います?」

  と、篠原のあとをついで答えた正樹の言葉に、一瞬口ごもる篠原だったが、心配そうに呟くとロビーの外に目を向ける。そこには続々とやってくる完全武装のコロンビア国軍兵士達。

「ここは、ブラジルとも近いからね……武装勢力もいるし、麻薬カルテルの力も侮れないし……」

「なんにしてもここ、ちょっとヤバくないです?」

  正樹はロビーの大きな、眺めの良いガラス面を見ながら立ち上がる。

「近くで爆発でもあったら悲惨な事になりますよ?」

  爆風で一番怖いのはこうしたガラス片なのだと、正樹も久美も、時折学校で行われていた戦時避難訓練の際に、繰り返し教え込まれていたのだ。
  当然篠原もそうした情報には事ある毎に接していたし、政府の広報等では明るい女性アナウンサーのナレーションで、『ミサイルや爆撃の警報を聞いたら、即座にそうしたものから離れ、地下や近くの避難所へ移動しましょう。そうした物が見つからない場合は速やかに頑丈な遮蔽物を探して……』などという台詞を耳にしていた。



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