DEFCON 1
複数の国内国家を抱え、枢軸と連合の最前線という場所に暮らしている日本人にとって、そうした情報はある意味当たり前の常識であったのだ。
「確かに。伊丹さんに相談してこよう」
伊丹の元へ向かう篠原と、窓から見える兵士や兵器を見比べながら、不安気な声で尋ねる久美。
「ねぇ、本当にここで戦争になるの?」
久美の質問は当然だったが、正樹にはなんとも言えない。
コロンビア政府が戦争を仕掛けるとしたら、恐らく北のはずだ。コロンビア政府にとって、パナマこそ、なんとしても手に入れたい土地であるはずだった。
では逆に仕掛けられるとしたら……?
「わからないよ、ベネズエラもブラジルも、どっちともこの国とそれほど仲は悪くなかった気がするし?」
やっぱり武装勢力か、麻薬組織かな?
つい一〇年ほど前までであれば、麻薬組織と正規軍との装備は、圧倒的に正規軍優位にあったのだが、最近の麻薬組織は多脚砲台やら装甲歩兵やらまで装備しているという。
下手に手をだせば、痛い目にあうのは正規軍である。世界中の余剰兵器が集まる中南米諸国では、麻薬組織の実力はそれほどまでに肥大化していたのである。
「……日本に帰りたいな……」
その一言に込められた思いに、一瞬胸がいっぱいになってしまう。
「うん」