Prologue


  途中までは自動操縦のNOE(と言っても飛行するわけではない)で木々の隙間をすり抜けてゆく。乗馬するよりなお強烈な、激しい上下左右の運動と、変化しつづける加速度に耐えつつ、合間に可能な限りの敵状を把握する。

  一応それなりの隊列を作っていたはずの敵は大混乱だった。
  どうやら指揮系統も滅茶苦茶になっているらしく、戦闘部隊としては完全に崩壊している。
  それに対し正樹達は未だに綺麗な弧を描いて布陣しており、地雷原の中に取り残された敵前衛部隊を、十字砲火によってどこか遠くにあるとされる地獄(もしくは天国)へと叩き込み続けている。

  右翼にいた味方の軽アーマーが突入して敵後衛の隊列のど真ん中に殴りこみ、派手に暴れまわっているらしいのが確認出来る。完全に戦意を喪失している敵部隊は、その動きに追われて左翼前方の地雷原に追い込まれつつあり、その後方へは左翼の軽アーマーが移動している。
  もちろん両翼に展開していた歩兵部隊が、袋の先をすぼめてゆくようにして前進を開始している。

  本当なら後退を開始している敵の追撃を行いたい所ではあるが、地雷を敷設してあっては味方の追従が期待できない。孤立してしまう可能性が高いのだ。
  戦果の拡大は期待できるが、自身も叩かれる可能性が高い。それよりは罠に嵌った敵をさらに混乱させ続け、味方の攻撃を支援する方が良いだろう。

「敵前衛部隊に突入を開始します」

“突入了解”

  本部からの短い返信の後、全部隊への発令。

“味方のアーマーが敵前衛部隊に突入する。総員C4I系の接続に注意せよ”



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