Prologue
「……良い子だ、そのまま来い」
ひとこと呟き、瞳を閉じて数を数え始める正樹。
…………二〇八、二〇九、二一〇、二一一、二一二っ――!
集音器が遠くで爆発音が響くのを捉え、一瞬置いて機体の各種受動探知機が警告音を鳴らす。
ほとんど同時に機体の集音器にも、遠くの爆発音が響いてくる。
無線封止解除。
即座に隊無線から無数のクリック音が聞こえ、密林を透かして見える夜空に、打ち上げられた吊光弾の閃光が煌めき始める。
同時に味方が発砲を開始。
システムオールグリーン。
しかし正樹はまだ動かない。
爆発の後、敵は狂ったように最大出力の能動探知をかけてくる。おかげで索敵画面には探知目標が次々に表示されてゆくが、その大半は軽装の機動歩兵で脅威判定は低い。
確認できた敵のアーマーは三機。
正樹達の“女神達”と通称されている味方アーマーと同数だったが、内一機は最初に地雷を踏んだ間抜け。
機体は半壊していて煙りを出している。
パイロットは――……生きていたなら奇跡だ。