Minus 424

「まぁそうだけど。……そう言えば、その、お父さんには挨拶に行ったのかい?」

  何時もの超然とした雰囲気は全く感じられない、真央とごく小数の信頼できる友人にしか見せない素顔のチャン。

  真央は思わず微笑み素直に答える。

「行って来たわ。夕日が綺麗だった。あの夕日に包まれて眠っているなら、きっと父も幸せよ」

  そう、本当に美しかった。
  でもそれ以上にロンボク島で見た夜明けは、あらゆる面で感動的で絶対忘れられないと思う。

「そうか、よかった」

  大きく伸びをして真新しい白衣をロッカーから取り出すチャン。

  どうしよう?
  チャンには言いたい。ニナにも……。
  言ったらチャンはどう思うかしら?

「それより聞いて?」

「なんだい?」

  半ば寝ぼけたような状態のまま、チャンは様々な器具や機械類に手際良く電源を入れつつ答える。

「私、恋をしたの」





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