Minus 424
コーヒーを吹き出すチャン。慌てて手にしていた白衣で、モニターやら測定器具やら検査器やらを拭きながら聞き返す。
「なんだって!」
もちろんこんな反応は真央の予想のうちにははいっていない。
何をそんなに驚いてるのかしら?
「だから! 私、恋をしたの?」
ようやく何を言っているのか呑み込めたらしいチャンは、信じられないという顔で答える。
「――驚いたな。君は絶対恋なんてしない人だと思ってたよ」
「そんな事言ったら貴方こそ、結婚してるって知った時には天地がひっくり返ったかと思うくらい驚いたのよ? 無口だし、女なんて全く眼中に無いって感じだったもの。……そう言えばちゃんと家には帰ってるの? ミーシャさん、心配してない?」
「何を言う! 僕は人見知りするだけだ、それから妻はちゃんとわかってくれてる、彼女だって同じ……。とにかく大丈夫だよ」
チャンが何を言おうとしたのか気付いて、一瞬気持ちが落ち込む。チャンは中国、奥さんのミーシャさんはロシアの出身なのである。チャンが順調に出世している事自体奇跡に近い。
「それより教えてくれないかな?」