Minus 424
「じ、冗談じゃないか! 頼むよ、あんまり寝てないんだ、多少混乱して口が滑ったって勘弁してくれないか? それに……」
「それに?」
「僕は先週からずっと君のハンプディ――『NK-34011』と『34012』に係りきりで――」
真央の脳裏に、チャンの疲れきった寝顔が蘇ってきた。
「……流石にもう限界だったんだよ」
真央の瞳に影が射す。
「ごめんなさい。私、忘れてたなんて信じられないわ」
いきなり変わった風向きに、密かにため息を、深くついたチャンであった。
「本当にごめんなさい」
確かに真央は一番重要な時期に現場を離れていたのだ。
現在部門でも最も有望な株の一つである新型のキメラ『NK-34011』は、炭酸カルシウムと炭素を主成分とした、非常に軽くて強靭な結晶体を大量に作り出す。
設計者は真央、だから愛称は真央のハンプディダンプティ。
真央がタイとシンガポールの研究所に指導員として派遣されていた期間と休暇中の全期間、チャンに一番重要な初期段階の全てを、丸ごと押し付けた形になったいたのである。