Minus 424
「ニナ!」
――レベル3作業区で働くニナは、ヒスパニック系らしい美しく尖った顎と、強烈な印象を残すブラウンの瞳、そして自前の完璧なまでの黄金色の髪をした背の高い女性研究員である。
真央とは入社時期が同じだが経験はニナの方が長く、疫学系の微小生命、主にかなり強力な感染力をもつウィルスを扱っている。
「あら真央、お帰り、休暇は楽しかった?」
「えぇ、楽しかったわ――」
と思わずうっとりしそうになった真央だが、なんとか気を取り直して詰め寄る事に成功する。
「ニナ! なんなのよ人を賭けの対象にするなんて! それも一口50ドルですって? 何を考えてるのよ!」
大声を出しそうになるのを必死で堪えている真央。
「まぁ! 忘れていたわ、あなたは有給休暇期間を全て消化したのよね? なら3週間……と」
言いながら携帯端末を3D表示で操作する。
端末上に広がるホログラフィック映像の中を、ニナの指先が華麗に舞う。
「……あら驚いた、私の一人勝ちじゃない、ありがとう真央。なんでも奢るから好きな物食べてね?」