Minus 424
「うん。全部話す」
もう一度座り直す二人。強がって見せたが、真央の顔色はやはり悪い。
「でも、ニナって子供が居たのね? 全然知らなかった」
「さぁ? そんな事言った?」
不意に不敵なほどの悠然さを取り戻したニナに、真央の言葉が抗議口調に変化する。
「ニナ? それはズルイんじゃないの?」
「……そうね、でも、子供がいるなんて言ってない。本当に子供はいないわ、産んだ事があるって言っただけ――」
「ごめん」
真央は初めて見るニナの苦しげな瞳に言葉を失ってしまう。
「いいのよ、昔の事。真央が気にする様な事じゃないわ。ね? それより一体何をして来たの?」
言われて香りまで蘇って来そうな、バンコクでの出会いやシンガポールの夜、バリの景色、ロンボクの夜明け。海、太陽、風、花や緑、そして……。
「――真央?」
「私ね、恋をしたの。私、その人を愛してる」