Minus 424

「つわりには多少早いですが、間違いありません、元気な赤ちゃんです。ダンジョン――研究棟へ降りたそうですが、問題のありそうなものは一つも発見されませんでした。おめでとうございます。ただし、念のため来週もう一度……えーっと、何処の病院でも構いませんので、検査をお受けになって下さい。これが、診断書になります。これからは自重して、もっと行動に責任をもって下さいね。それじゃ、僕は失礼します。幸運を。……行くぞ!」

  と必要な事と必要でない事を一気にぶちまけ、妊婦に対する別れの挨拶とは思えない一言を残して立ち去る担当医。最後の『行くぞ』は女性では無く自動機械への命令である。

  入れ替わるように、首からT・アッシャーの識別票をぶら下げた女が担当医の座っていた席に座る。

「ミス・ヤナセ、人事担当のミセス・アッシャーです」

  これでもかというくらい、ミスとミセスを強調した自己紹介である。

「まず貴女にはいくつか伝えなくてはならない事があります」

  言いながら何種類かの書類――それも電子紙だけでなく、高価な紙の書類が混じっている――をテーブルに並べる。
  これで真央にも、どうやら責任問題になっているらしい事は予想ができた。

「今日貴女がした行為は、人類の生存に関わる重大な――」

  その後のセリフについては、真央にも簡単に予想が出来た。

「あの、ミセス・アッシャー。私も法律は知ってます、連邦法と、あと州法にも違反したとおっしゃるんでしょう?」



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