Minus 426

  その彼が真央に遅れる事三日、やっと昨日の夜にサンディエゴへ帰って来たのだ。
  しかも真央を“正式なディナー”というモノに招待してくれている。

  大丈夫だという信頼と、こんな場所に住む自分に幻滅するのではないかという不安。

  彼がこのアパートを嫌いだって言ったらどうしよう?
  この部屋は?
  私は、バリの私と比べてどんなふうに見えるの?

  真央の心は、まるで南国の星座の様に揺らめき、その日の化粧すら決めかねていた。

  結局そのまま日課になっている『鼎』古武術の基本練習である、柔術(実際は柔術と合気道のミックス)の型と居合いの型を一通り行う。

  気持ちを切り替えたり、落ち着かせたりするには、真央にはこれが一番効くのだ。

  本当は気持ちを静めるには弓術が一番なのだが、大好きな弓術の鍛錬はパチンコみたいなゴム弓か機械式の半弓でしか出来ない。

  因みに『鼎』にはそれに加えて槍術(槍か薙刀)と馬術もあるのだが、もちろん部屋に籠もって出来るものではない。

  演舞用の抜き身の模造刀を右手に、腰においた左手に鞘を持ったまま古い螺式の壁時計を見上げる。




拍手する