Minus 426

  日に焼けた引き締まった身体を上品なダークスーツで包み、右手に大きなバラの花束、左手には巨大なショッピングバックという一人の紳士が、おどけた様子で真央を見ている。

「『えっ?』ジョンっ? ジョン! 会いたかったわ! でも、その格好って、いったいどうしたの? びっくりするわ? それにちょっと早すぎない?」

  矢継ぎ早に繰り出される驚きと喜びの入り混じった真央の台詞に、傍目にも楽しそうに答えるジョン。

「いや、迎えに来たのは確かなんだけど、これを先に届けにきたのさ?」

  そう言って左手のショッピングバックを差し出し、慌てて右手の花束を先に渡し、次いでショッピングバックを広げる。

  再び唖然とせざるを得ない真央。

  中には有名なプライベートブランドの高価な箱が、これでもかという程詰め込まれていたのだ。

「まずはこれがドレス、きっと君に似合うよ、それから靴にバッグに、アクセサリーっと……」

  一々口にしながら、中身を扉の脇のサイドテーブルに載せていき、最後はこれも有名な、普通の(つまり金持ちではない)人には入ることすら許されない、超の付く高級店の刻印の入った箱が、上着のポケットから無造作に出てくる。

「言っただろう? 僕は女性の好みにうるさいんだよ、それに何より今日予約した店は、残念ながらその格好で入れる所じゃないからね?」

  そう悪戯っぽく笑って真顔になるジョン。



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