Minus 426

  当然だった。
  こうしたドレスの下は普通コルセットなのだ。

  慌ててクローゼットをひっくり返して、三年以上前に一度使っただけのそれを、恐怖と不安におののきながら当ててみる。

  緩い……。

  喜んで良いのか悪いのか。慣れない東南アジアへの出向効果だろう。

  ともかくサイドの紐をギリギリまで締め上げ、一セットしかないガーターとストッキングで決めるが、肝心のセットのショーツが見当たらない。

  もう! 下着なんて見えないのに!

  それが見えてしまうのだ。

  一番高かった下着は、ドレスを着たときにラインが目立ちすぎた。かといって流石に何も穿かないわけにはいかない。適当なTバックで妥協するが、次第に腹が立ってくる。

  なんでこんな目に……!

  泣きそうになりながらもバックに化粧品やら何やらを放り込み、化粧を済ませて鏡の前に立った真央。

「あなたはだあれ?」

  美しく変身した鏡の中の自分と普段の自分との、余りの落差に混乱して、何に腹が立つのかもわからなくなってしまう。

  が、しかし、混乱していたのは最後にアクセサリーの箱を開けるまでの、極僅かな間だけだった。



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