Minus 426

  思わず目を見張ると、片膝を着いたジョンが二階に住むヘレンという女の子と話している。

  運転手も加わって、何やら冗談を言いあっていたらしい。
  なんとも穏やかで幸せそうなその景色に、真央は思わず見とれてしまう。

  真央に気付いたジョンが、胸に付けていたバラを外してヘレンの髪に付け、耳元で何か囁いている。

  どうしよう?
  ……心臓が止まってしまいそう。

  笑ったヘレンが真央に向かって走ってくる。

「ちょっと惜しいけど、真央にあげるわ! 大事にしてね?」

  更にウィンク。

  ヘレンってまだ八歳じゃなかった?

「結構お似合いよ!」

  ヘレンのダメ押し。

  見送った真央が振り返ると、何か合図でもあった様に直立して姿勢を正し、少し脇によけて右手を差し出すジョン。
  同時に運転手が恭しく車のドアを開け一礼し、ジョンがニヤリと笑う。

「次はコサージュと手袋も忘れずに持って来る事にするよ」



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