顎を預けた膝を抱き、微かに首を傾げた真央の口元には、いつしか小さな笑みが浮かんでいた。
不意に寝返りを打ったのは、隣に眠る浅黒く引き締まった身体。
その男の全身には、いくつもの酷い傷跡が見え、さまよっていた真央の瞳が、眠る男の横顔でとまった。
いったい何をして来た男なのだろう?
舞う様に音もなく伸びる白い肢体。
真央はシーツを広げ男の隣に潜り込み片肘を着く。
一瞬迷いながらも、そっと、男の傷跡の一つ一つに触れてゆく……。
時折見せる凍りつく様な鋭い眼差しは、いったい何を見て来たのだろう?
窓辺に灯された淡いキャンドルの明りがゆっくりと外に漏れだして、真央の瞳に妖しく揺れている……。
一番酷い傷跡はつい最近のものらしい。
この人がいったい何をして来たかなんて関係ない。
この人が私の終末点、いいえ、始まりで終わり、私の全て――。
私はこの人を愛していて、この人は私を愛してくれている。
……他に何が必要だというの?